どのようにして、
何度も崩壊したチームが
顧客満足を自ら考え追求する
自走組織に生まれ変わったのか?

居酒屋甲子園全国優秀店長賞
一心たん助 有楽町店
川村 店長

【店舗紹介】

店名   : 一心たん助 旦 有楽町店
業態   : 仙台牛たんの食べ放題
住所   : 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1−2−11 オーキッドスクエア1F
Tel    : 03-6268-8515
営業時間 : 日~木 16:00~22:10/金土 16:00~22:40
定休日  : 年末年始
立地   : 有楽町駅徒歩5分
客単価  : 7,000円
席数・坪数: 48席 36坪

【業績】(クリックで拡大)


【店長就任までの経緯】

一心たん助ブランドは、2013年に上野でグロブリッジが経営していた焼肉店の業態転換ブランドとしてスタートしました。当時、空中階で競合店との差別化を明確にできず、厳しい業績状況を打破すべく、当時の店長の発案で仙台牛たんの食べ放題業態を半ば勢いでリリースしました。

ところが牛タンの食べ放題という、業界的にはかなりインパクトのある取り組みであったため、数多くのメディア露出とSNS拡散により3ヶ月先まで予約を取ることが困難という繁盛店となりました。その後、グループ内の店舗を業態転換を進め、4号店として一心たん助有楽町店が2021年4月に業態転換後オープンしました。

有楽町店は、一心たん助ブランドの中で唯一の1階路面店で4店舗の中でもNo.1の売り上げを誇り、その店舗の3代目店長として河村店長が2021年7月から店長に大抜擢されました。

グロブリッジの人材育成方針として、「できるからやらせるのではなく、やらせて出来るようにする」という考えのもと河村店長が、たん助グループNo.1の繁盛店を切り盛りするのは、スタート段階では無理だと分かりながらも、取り組みを通じて店長としての人格や能力を高める狙いがありました。

【河村店長の取り組み内容】※居酒屋甲子園パンフレットからの抜粋

■平均月商2,150万円の大繁盛店を支える自走するチームづくり

36坪48席で平均月商2,150万円を叩き出す、牛タン食べ放題の圧倒的な繁盛店を率いるのは、店長就任歴1年少々、若干23歳の河村店長。中高と野球漬けの毎日を過ごすなかで、「理想のチーム作り」への興味が沸き、同業態の上野店でのアルバイトを経て、社員となり、店長になった。

どうしてこんな大繫盛店が出来上がっているのか、非常に気になる業態の秘密は別の機会とさせて頂き、河村店長のミッションの1つが「お客様アンケートの紹介意志を高めること。」これが数か月後の売上に繋がってくるんだそう。

同店のアンケートシステム(こえなび)は、会計時にスタッフがお客様にタブレットをお渡しし、卓毎に回答をいただく仕様。アンケート項目は非常に多岐に渡っているにも関わらず、回収率は90%以上というから驚きだ。

この「お客様アンケート結果に基づいた毎日の営業後の振り返り、対策立案」により、アンケート評価の改善に成功。また、アルバイトスタッフ主体でアンケート評価の改善に取り組むことで、大きなやりがいをつくり、「離職率の低下」「お客様からのアルバイト採用、半年で10名以上」「売上高昨年対比140%」を実現している。そんな河村店長を取材し、感銘を受けた点を2点紹介する。

■振り返り、自分を変えていく力

河村店長、実は店長就任当時は全く思うようにいかず、チームは崩壊、辞めていくアルバイトもいたという。上司は話は聞いてくれるが、河村店長の成長を願い、答えはくれなかった。当時は毎日帰宅中の電車で、悔しさで目に涙を浮かべながら、1日の営業を振り返っていた。主に振り返っていたのはコミュニケーションの中身。つまり、自身の発言や態度。深く内省をし、自分はアルバイトスタッフにとって「自分のことを理解してくれない情熱だけがある人」となっていることに気付いた。そこから徐々に自らの行動を変えていく。

「イメージは自分が先頭で手綱を引っ張っている状態から、スタッフと横並びで一緒に進んでいる状態へ」というのは河村店長の言葉。それを実現していくなかで拠り所にしたのは、自分が理想とする「アルバイトスタッフが自走するチーム」であった。

■目的からコミュニケーションを逆算する

変化の過程で大切にしたことは3つ。1つ目は、徹底的にスタッフにヒアリングをすること。「相手は本当はこう思っている、というのを分かるまで聞いて、やりたいこと、楽しいと感じることに対して、店舗での役割を当てはめていった。」と言う。2つ目は、目的から取るべきコミュニケーションを逆算すること。「今日はこの子に一番声を出して盛り上げてもらうために、こんな声掛けをしよう」と、毎日自分のなかでコミュニケーションのプランを考え、スタッフを迎えた。そして3つ目が、スタッフのモチベーションの変化についての営業後の振り返りだ。

この「ヒアリング」、「目的から逆算したコミュニケーション」、「営業後の振り返り」を繰り返すことで、スタッフがそれぞれ強みを生かして活躍できるようになり、チーム崩壊から4か月後には改善を実感できるように。今では理想とする「アルバイトスタッフが自走するチーム」に近づいていると言います。

【居酒屋甲子園考察まとめ】

営業終了後、みんなでワイワイ賄を食べながらアルバイトスタッフさんがその日のお客様アンケートスコアについて振り返りをして意見を出している。アンケートシステム(こえなび)という大きな武器がありながらも、そんなチームをつくっていることはシンプルに凄い、と感じました。

そんなアルバイトスタッフさんのコメントで印象的だったのは、「課題に対して自ら考え、周りを巻き込みながら乗り越えた経験は、就職した後も必ず活かせると思う。」と言い切っている姿。本当に主体的に仕事をし、いい経験をしているんだな、ということがヒシヒシと伝わってきました。


一心たん助が使っている↓↓↓



【具体的な改善活動】

1)店長を向いた仕事から、顧客を向いた仕事への意識改革

当時、自走する組織を作るために一番課題と感じていたのは、「店長からの指示待ちアルバイト集団」をどうやって変革させるか?でした。本来、顧客が喜ぶためのことをやるのが仕事のはずなのに、店長が評価してくれるためにやるつまり店長を喜ばせるためにやると言うのは本来の飲食店の仕事ではないはずと言う漠然とした疑問を感じていました。

しかしながら、よく考えてみるとそうなるのは当然で、自分の仕事の価値(時給)は、店長が決めていると言う環境であれば当然、店長に喜んでもらうことをするという仕事になるのは当然。なるほど!ここに、自走する組織作りの最大のヒントがありました。

顧客満足度アンケート結果をベースにアルバイトの時給評価をしよう!が変革の第1歩でした。つまり、お客さんが喜んでくれることに最も貢献した人が最も評価されるという実に飲食店が繁盛することに直結する理にかなった評価制度です。

■取り組み1 全てのお客様からアンケートを取得する活動をスタート

お客さんの声を評価に繋げるということは、お客さんの一部からの評価であると本当の評価とは言い切れません。もしかすると、良い声だけアンケートが集まっているかもしれません

しその逆も然りです。顧客の声を評価にするためには、来店客数の8割以上のアンケートを取得するという前提条件がありました。

以前、紙ベースのアンケートで取り組みをしていたこともあったのですが、忙しい時のオペレーションが難しく取得率をあげることが出来なかったのですが、今回こえなび社のアンケートシステムを活用して、タブレットを使ってアンケート取得をスタートしました。

取組前は、勝手な先入観でアンケートは取れても1日に2、3件のようなイメージはあったのですが、取れるのが当たり前という意識づけをするために、まずは店長が率先してアンケート取得活動を徹底して背中を見せて行きました。アンケート取得率は今では9割を安定して超えるようになってきましたが、アンケートを取れるようになった理由を店長はこう考えます。

アンケートは、今日一生懸命にお客さんに喜んでもらおうとした活動を、どうでしたか? と直接確認する活動です。もし自分自身が一生懸命やった!という自信がなければアンケート取得するのに躊躇するはずです。加えて、アンケートがお店から言われていること、お店のルールということにしてしまうと、必ずやらされ感が出てしまいます。これはお客さんも然りで、アンケートにインセンティブをつけてしまうと、お客さんもだったらやってあげてもいいよ。。。という感じのアンケートになってしまいます。

やってあげてもいいよのアンケートは、活用できるアンケートにはなりません。サービスを提供するアルバイトも一生懸命取り組んでその評価をぜひください!と言えることお客様も、お店で過ごした時間が良かったとしても悪かったとしても、真剣に向き合ってくるお店にきちんと応えてあげようとすること。これが本来のアンケートの姿だと思います。アンケート取得率を上げるコツは、店長が率先垂範して背中を見せることと、本当にお客様に向き合って活動をすることこの2点に集約されます」とのこと


一心たん助が使っている↓↓↓



取り組み2 毎日顧客満足度(CS)の目標数値を追いかけて、振り返りをして、翌日の取り組み内容を考える「PDCA」

お客様からのアンケートは、アルバイトの評価のためにも必要ですが、最大の目的はお客さんの満足度状態を把握して、改善を進め、より満足度を高めていくことです。

そのため、感覚的になりがちな店舗課題を

・顧客セグメント毎に評価を見る(顧客属性×利用シーン)

・評価項目を分けること(総合満足、味、接客サービス、雰囲気、コスパ、提供速度、衛生等)

・定量的に測ること(5段階評価)定量的に測ること(5段階評価)によって課題を鮮明にして行きました。

その中でも一番効果があったのは、顧客セグメントを分けて評価を分析したことにより、セグメント毎に喜ぶポイントが違うことが分かったことでした。

考えてみると、客単価にしても月間平均で客単価を見てしまいますが、ランチや深夜の客単価も違うはずなのに月間平均で見てしまっているように、顧客満足に影響する項目が、20代のカップルと、男性サラリーマングループで当然ながら違うはずなのに、今まで全てのお客さんをまとめて平均値で見てしまっていました。

これでは、お客さんの求めているものがわかるはずはないということに気づいていなかったのです。アンケートがセグメントと定量化によって、かなり鮮明なってきたため、毎日毎日、朝礼で前日のアンケート評価のフィードバックと今日の改善取り組み内容の徹底及び、今日の顧客満足度の目標数値を確認してからお店をオープンするようになりました。この活動を通じて、日々CS数値が改善していくことをアルバイトも実感できるようになり、より日々の改善活動に積極的に取り組むようになりました。

■取り組みを通じて

アンケート取得活動は、地道な活動です。たまに自分たちがいくお店で、申し訳なさそうにテーブルに置いてある筒にアンケートと鉛筆が刺さっているのを目撃したりします。なぜ顧客の声を毎日聞くという活動が世の中の当たり前になっていかないのでしょうか?

飲食店は、毎日お客さんの評価に触れることができる素晴らしい仕事です。ですが、そのお客さんの評価を考えずに仕事をしてしまうと、逆にお客さんに直接不満評価を増やしてまう結果になりかねません。

顧客満足度の高いお店を作ろう!という活動のスタートは、直接お客さんからの評価をもらおう!という活動がスタートなんだと思います。

これを、継続していくこと。顧客満足度を確認していないお店も、顧客満足度を確認する活動を継続できないお店も、グレーをなくすと、顧客満足度に対して向き合うことを断念しているお店ということに他ならないのではないでしょうか。世界中の飲食店が毎回アンケート評価をください!と真剣に向き合ってくるような世界ができたら嬉しいです。

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2)顧客が本当に求めているものを見つけ出すアンケートを活用してブランド作り

一心たん助は、業態を作った時はとにかくSNSでバズらせようということをメインで考えてきました。ですが、このやり方では長く続かないだろうな。。。ということを分かっていましたし、なんとか、瞬間的な流行り業態にならないように手を打ってきました。

一心たん助が単なるバズリ業態から変革し、今では会員が年間で5万人増加し、開業から5年がたつ今でも予約が3ヶ月先まで困難なブランドになってきた理由は、明らかにアンケートによるブランドコンセプトの改善活動によるものでした。

アンケートを元に一心たん助が繁盛店になってきたブランド改善の取り組み内容の一部を共有します。

■取り組み1 食べ放題なのにホテルばりのフルサービス

当初、顧客の求めているものは、食べ放題なので、コスパ重視だろうと勝手に考えていました。そのためできるだけ、原価率を高くかけていくことや、価格をリーズナブルにしていくこと。

そのためにできるだけ人件費は抑制したい。。。という思いがありました。しかしながらアンケートが示した答えは全く別のものでした。顧客の高評価の理由の5割以上が実は、スタッフの接客サービスに対する評価が占めていたのです。これには正直驚きました。

確かに、世の中の食べ放題は、できるだけ食材にコスト配分を持っていくために、人件費は削っていく。出来る限りテーブルに行かなくてもいい状態にしていくサービスを目指していくのが一般的です。ですが、食べ放題は実はハレ利用なんだということに改めて気付かされました。そのため、人件費を削る方向ではなく逆にホテルばりの卓担当制を敷いたフルサービスに切り替えました。有楽町には50名を超えるアルバイトが在籍してくれて、このたん助のサービスを支えてくれています。

■取り組み2 飲食店の常連になってもらうのではなく「たん助」という人格に熱狂的なファンになってもらう

たん助のアンケートのフリーコメントや、SNSのシェア内容を確認していると、一般的な飲食店の来店後のコメントとは違う感じをずっと受けていました。

「良かった」「おすすめ」という言葉ではなく、「大好き」「LOVE」という言葉が発生率が最も高い分析結果となっていました。これはもしかすると、顧客が見ている一心たん助は一般的な飲食店をみているものと違うのではないか?この仮説をもとに、一心たん助のアンケート評価項目を大きく変更しました

質問1「あなたにとってたん助はどんな存在ですか?」5段階評価でお答えください

5点「もはやたん助は自分の人生」

質問2「たん助をどれくらい好きですか?」

 5点「好きを通り越して愛してる」

このアンケートをつけ足した結果、なんと、両方5点をつける人が全来店客数の13%いるのです!!

総会員8万人を超える中で、10,000人以上も熱狂的ファンがいるのです!

この指標をもとに、いかに熱狂的ファンを増やしていくか?にお店の方向性を切り替えました。単純に来店客数やリピーターを作るのではなく、たん助の熱狂的ファンを増やす活動に切り替えたのです。

このアンケート取得を始めたことによって、アルバイトの意識も、単純にまた来ます!を目指すサービスではなく、「人生だ」「愛してる」と言ってもらえる接客サービスを追求するようになりました。これもアンケート(こえなび)が教えてくれました。

■取り組み3 最も仲の良い仲間と行くお店づくり 初めてのデートでは使わない、物心知れた恋人のデートで使うお店づくり

アンケートの口コミ内容を読み解くと、「とにかくめちゃくちゃ楽しかった!」「笑いあった」という発生率が高いのがわかりました。飲食店は「うまい!」が大半のはずなのに、仲のいい良い人と楽しんでいる利用シーンが浮き彫りになってきました。そこでアンケート内容に追加をして確認をしてみました。

質問「あなたはたんすけに誰と行きたいですか?」この質問の中に、

1友達 2超仲のいい友達 3恋人 4上司と食事 5地元の昔からの仲間 6付き合いが長い恋人

というように、友達も恋人も仲の良さの度合いを確認したところ、想定通り、2、5、6に答えが集中しました。なるほど、高い客単価の牛タンのお店はとかく、ハイエンドなお店作りになりがちなのですが、一心たんすけに求められているのは、超仲の良い仲間と腹抱えて笑う時間だということが分かりました。

その分析結果を踏まえて、危うくハイエンドな高級牛タン焼肉になりがちだったコンセプトメイクを止めて、ひたすら、ターゲット利用シーンが喜んでもらえるようなお店作りに集中することができました。

一心たん助が使っている↓↓↓


■取り組みを通じて

繁盛店を視察をすると、お客さんが沢山きていることや、喜んで笑顔で過ごしていることを感じると思います。ただ、繁盛店を視察して同じような繁盛店を作ろうとしても、見えている成功要因だけで同じ結果が出ることはまず無いと思います。

お客さんは、外食というひとくくりされた業界にお金を使ってはいますが、外食で求めている目的はその時々によって違います。お客さんはその時に実現したい目的にとって一番ベストなお店を選んでいます。

美味しい焼肉屋さんを作るのではなく、ターゲット利用シーンを明確にし、最も選ばれるお店にすること。これが繁盛店を作るために必要不可欠です。

アンケート結果自体には答えはありません。アンケート結果を元に、お客さんの見えない声に気づけるか?そして、その声を頼りに、本当に求めているものを確認して真実に辿り着いていくことがブランド作りなんだと思います。

客さんの声を元に仕上がっていくブランドが世の中にたくさんできてきたならいいなーと純粋に思います。

【最後に】

居酒屋甲子園は、飲食点を取り組む人間にとっては憧れで、いつかは壇上に。。。を目指してきました。今回、自分たちの取り組みが少しでも評価してもらえたことに心から感謝しています。

次回以降はもっともっと上を目指し、たんすけの他店舗も壇上に上がれるように頑張っていきます!もし東京に来られた際には、お店に立ち寄ってうちのスタッフに会いにきて声かけてあげてください!

次回の居酒屋甲子園の発表でアンケート取得と改善活動による成功事例が数多く出てくることを期待しています!

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